カラーベスト・コロニアルは塗装すべき?必要?葺き替えすべき?
2015年6月25日
住宅のメンテナンスにおいて戸建て所有者様を悩ます多くの疑問の中にカラーベスト・コロニアル・スレート屋根に対して再塗装すべきなのでしょうか?しなくてもいいのでしょうか?ということがあります。
屋根に関係する業界は瓦屋、板金屋、塗装屋と複数ありますので、統一見解というのはもちろんありません。
業界と業界(瓦屋+板金屋=屋根屋vs塗装屋)の利害はもちろんありますし、”塗装屋さんは塗りたい”ですし、屋根屋さんは”修繕や葺き替えをおすすめしたい”わけですので、「これが正しい!」というのはありません。
弊社の見識、見解としましてはメーカー推奨時期において、又は目視で屋根の美観、景観上、お客様がお気になされるならば塗装するべきであり、お気になされないならば塗装はしなくてもよろしいのでは?というスタンスで一貫しております。
塗装したいお客様はすればよろしいと思いますし、「塗装+仮設足場代を考えればしかるべき時期に葺き替えます!」とおっしゃるならば「そうですね。私も賛成です。」とお応えいたしております。
上記のとおり、弊社はどちらかと聞かれれば「屋根の塗装は要りません。」という論派です。
そもそもカラーベスト・コロニアルを塗装すれば製品自体の寿命(耐用年数)は延びるのか?
これはどこを探しても科学的または適正を示すデータやエビデンスは無いはずです。
製造メーカーまたは独立した第三者機関がしかるべき実験や検証を行えばデータやエビデンスはネット上でさえ見つけられるはずですが、業界内でも見つけられないものをネット上で見つけられるはずもありません。
製造メーカーであるkmewが1つの指針をオフィシャルとして出せばいいですが、弊社既出記事のとおり、寿命や葺き替え推奨時期に関しては触れられてはおらず、「現状を考慮して専門家しかるべきメンテナンスを施してください。」とまでしか記載していません。
例えば家電メーカーが「この冷蔵庫の寿命は◯◯年なので買い替えましょう!」とはアナウンスしないですが、商品毎に推奨メンテナンスやその時期は謳っているのと同じで業社やエンドユーザーに判断を委ねているのは一緒なのです。
業社によっては「塗装をするとカラーベスト・コロニアルの寿命は延びます。」と大体的にサイト等で謳っているところもございますが、そのソースは記載されておりません。
全て、「経験上です。」とか「塗装しないよりもした方が良いです。」程度。
最近は塗装屋さんも「カラーベスト・コロニアルの再塗装は美観上、景観上であって、防水性を高める、製品自体の寿命を延ばすということはありません。」と確り断言されているところが多くなりました。
美観上、屋根の塗装をしたい方はこういった塗装会社は信用に足りるような気が致します。
根拠が無い以上「耐久性アップ」までは同意できますが、「カラーベスト・コロニアルに再塗装すれば寿命は延びる、防水性がアップする。」というような情報は個人的疑問です。
塗装が剥げていてもカラーベスト・コロニアル自体が雨水をルーフィングへ通さないというのはソースがあります。
前述ですが「塗装は寿命を延ばす。」と同じくらいの謳い文句で使われるのが「古くなったカラーベスト・コロニアルは再塗装することで防水性能がアップします!」といったキャッチコピーです。
では塗装しなければ防水性能は落ち、結果雨漏りが生じるのでしょうか。
その答えのソースになるのがこちらのBlog記事です。
私自身がこちらの施設に行き、見学したいのですが…。
既に削除された記事ですがインターネットアーカイブから発掘しましたのでこちらから閲覧できます。
上記urlの記事と画像を見れば一目瞭然。
無塗装のカラーベスト・コロニアルに水を垂らしても、その製品の下からは水は通り抜けませんし、試験管のような容器に入っている水は塗装されている製品とほぼ同量と考えれば製品に染みこんでいないと考えられます。
水を下に通したり、染み込んでいたとしたら、細長い容器内の水は無塗装の方だけ減っているはずです。
製品ではなく無塗装でこれですので、前述の「塗装で防水性能アップ」のために塗装を施すというのは雨漏りには関係がないことがわかると思います。
こちらのBlog主様も同業者のようで(鈑金屋さん)、記事内の考え方は私も同意できるものです。
雨漏りが生じないために「防水性能をアップ」と謳っているのなら、個人的には誇大なキャッチコピーだと感じますし、そもそもご紹介したBlog記事内のような実験的、ロジカルなソースを提供すべきだと思います。
この記事は、製造メーカーであるKmewが言う「屋根の再塗装は美観上、景観上であり、防水性能をアップさせるものではない。」という根拠になると私は思います。
屋根は屋根下地(野地板、屋根垂木)、下葺き材(ルーフィング)、屋根材の3つの要素で成り立っていて、屋根材は1次防水、ルーフィングは2次防水と言われ、2重で住宅内への雨水の侵入を防止しています。
私が考えるに、屋根材とは水切りであり、読んで字の如く降ってくる雨水を屋根材が切り、2次防水であるルーフィングへの侵入を可能な限り許さないという役目。
何かしらの事象で少量侵入を許したとしても2次防水であるルーフィングが最後の砦として、住宅内への雨水の侵入を許さないこと、これが屋根の防水です。
屋根のルーフィングというものは高級品で耐久性にすぐれているものでも20年〜30年と言われています。
それであるならば上記期間のうちに葺き替えを検討するということは合理的だと私は考えます。
「屋根は再塗装するな!」と言っているわけではなく、「美観上気になる方は塗装したほうが良いですけど、防水に関しては個人的には疑問です。」ということです。
一応Kmewの見解もurlを残しておきます。
PDFです。
http://www.kmew.co.jp/maintenance/biz_mainte_quad.pdf
皆様はどう思いますか?