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コロニアルNEO・レサス・シルバスにおける割れやクラック問題を考察①

いわゆるスレート屋根材は国内製造メーカー数社が独自のブランド名で発売してきました。

・(株)クボタのフラッグシップシリーズであるコロニアル(製造期間/S36~S61、石綿含有率/10~25%)、ニューコロニアル(製造期間/S54~H13、石綿含有率/10~15%)他等々。

・松下電工(株)のフラッグシップシリーズであるフルベスト16(製造期間/S46~S53、石綿含有率/10~15%)、フルベスト20(製造期間/S63~H15、石綿含有率/S63~H4:10~15%、H5~9:5~10%、H10~H15:5%以下)

・ニチハ(株)のパミール(ノンアスベスト)

・大建工業(株)のナチュール(ノンアスベスト)

等々、有名所で記載いたしますとザッとこのような企業名と製品名です。

石綿規制とは?またその規制による建材への影響は?


Anthophyllite asbestos SEM” by http://usgsprobe.cr.usgs.gov/picts2.html. Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.

”画像は拡大した石綿”

皆様、既に知っているように我が国日本では先ず1975年9月に吹き付けアスベストの使用が禁止され、2004年には石綿を1%以上含む製品の出荷が原則禁止、2006年には同基準が0.1%以上へと改定されました。
よってニチハのパミール、大建工業のナチュール以外(この2製品は最初からノンアスベストです。)の上記2社の製品名に関しましては規制対象としてもちろん廃盤になっており、流通または売り出すことを禁じられております。
石綿(アスベスト)は、熱、薬品、摩擦に強く、絶縁性や耐久性や経済性などに優れ、石油の様にひとつで多くの特徴を持つ天然資源として「奇跡の鉱物」「魔法の鉱物」と賞賛され、20世紀初頭から全世界に広まりました。
しかしながら空中に飛散した石綿繊維を長期間大量に吸入すると肺癌や中皮腫の誘因となることが指摘されるようになり「静かな時限爆弾」と呼ばれる、正に諸刃の剣のような鉱物。
健康に有害なのが唯一にして最大の欠点として、現在はある一部の研究以外では取り扱ってはいけない物質として法規制を受けています。

これで困ったのは石綿を使用していた建築建材あり、石綿障害予防規則レベル3のスレート屋根材も影響を濃く受けたのは言うまでもなく、その製造方法、内容物の変更を余儀なくされました。

ここ数年、主にハウスメーカー10年点検やネット上でコロニアルNEO・レサス・シルバスの製品名が上がるように…


※画像は現行モデルのコロニアルグラッサ・ブラック

当時のスレート屋根材の集荷数においてはクボタが他を圧倒、二番手が松下電工外装という図でしたが程なくしてクボタグループ・パナソニックグループによる折半出資に当該二社は合併し、ケイミュー株式会社の誕生と相成ったわけです。
石綿規制を見越し、松下電工外装はノンアスベストスレート屋根材であるレサス(製造期間/H11~H18.9)を皮切りに、シルバス(製造期間/H13~H15.10)や現行のスレート屋根材より厚物の製品ワンダ・シリーズなどをノンアスベスト製品としてラインナップ。
一方でスレート屋根材界の巨人クボタはフラッグシップシリーズであるコロニアルを冠したコロニアルNEO(H13.4~)を筆頭にしたNEOシリーズでノンアスベストスレート屋根材という新たなる製品開発をスタートしました。

ですが当時順調に思えたこの石綿規制時の切り替え製品は、10数年を経て現在そこかしこで問題を生んでいるようです。

先ずコロニアルNEOより先に製品化された松下電工外装製のレサスにおいて、ハウスメーカー等々で行われている築後10年点検等で極度の割れ・クラック・屋根材の滑落・欠損が確認されるようになりました。
これに関しては製造元である旧松下電工外装(現在のケイミュー)はその現象について、自社サイトやニュースリリースとして公式見解をアナウンスしているわけではありません。
もちろんリコールは申し出ておりません。
そういう事象があることは一定程度メーカー側は認めているが、その補償や修繕や補修というのはあくまで個別に対応するものであり、自社に全て非を認めているわけではありません。
メーカー側の非公式な言説ではありますが、施工精度や施工方法を理由に全ての責任はメーカー側に非ずというところに留めているようです。

私自身、大手ハウスメーカーの新築物件や葺き替え・修繕は数えられないほど行っていますので、業界内でも「ここ数年はレサスの修繕や葺き替えがかなりの規模で行われていくだろう。」というのは皆知っていましたし、何より実際に葺き替えや修繕を実際に私や周りの先輩方、同僚、後輩も挙ってやっていました。
それを証明しろと言われても困りますし、ハウスメーカーとメーカー側にどのようなやり取りがあったかは私はわかりかねますが実際にここ数年はそのような現場が多くあったのは事実です。

※イメージ画像は松下電工フルベストです。

同じく旧松下電工外装製のシルバスにおいても同様の事象が確認されています。
先述のとおりレサスの方が製造開始が早いため、問題が発見・確認されたのも他の屋根材よりも早いのは当然ではあると考えられます。
そして追随するようにレサス製造開始から2年後に販売開始されたシルバスも、そろそろ騒ぎが大きくなってきた感があります。
ただシルバス自体の製造期間は約2年程と短く、想定出荷数や製造期間の長さからしますとやはりレサスの方が問題が大きくなってくるのは間違いないのではないかと考えます。

では同じくノンアスベスト製品第一弾であるコロニアルシリーズは?ということになりますが、残念ながら弊社にも多数のお問い合わせや点検・確認等をいただくことが多くなってきました。
コロニアルシリーズは製品の精度、質、強度、様々、他のメーカーを圧倒してきた、正しくスレート屋根材のフラッグシップモデルと言っても過言ではなく、現場レベルの職人はスレート屋根材の中では大変重宝し使用してきました。
個人的には(多分大多数の職人も自覚してましたが)他のメーカー製品は精度や質や強度が1段下がり、やはりその施工性の良さや耐久性がコロニアルのシェア率を断トツにさせて来たと思っています。

コロニアルNEO・レサス・シルバスを施工していた”あの当時”に感じたこと

製造メーカーからすれば、例えばニューコロニアル(石綿商品)からコロニアルNEO(ノンアスベスト商品)への切り替え時というのは車でいうところのメジャーチェンジであり、少なく見積もってもマイナーチェンジではなかったのは言うまでもなかった一線でした。
ガソリン車からハイブリッド車、またはガソリン車から電気自動車くらいの変わり様と言っても大袈裟ではありません。
もちろん各メーカーにおいても将来的な石綿規制はもう既に視野に入れ、ノンアスベスト商品への研究開発は進んでいたのは間違いありません。

※画像はイメージです。

ただ広く使われてきたコロニアルはもとより、レサスとシルバスもですが、あの当時現場で施工していた私達職人からは大変不評な屋根材に成り下がっていました。
特にレサスとシルバスに関してはコロニアルNEOと比較しても「これはダメだ…」と感じていた職人はマイノリティではなく、マジョリティだったと記憶しております。
これは製品やメーカーへの誹謗でも何でもありませんが、私達はプロの屋根職人ですから少し葺いて(瓦や屋根材は”貼る”ではなく”葺く”と言います。)みればどんなに新しい製品でもその良し悪しは簡単に感じてしまうものです。
ある意味、メーカーより実際のスレート屋根材を知っているのは私達職人。

では何が「ダメだ…」だったのか?

記事が少し長くなりそうなのと、現在進行しているコロニアルNEOの案件がありますのでこちらはシリーズでエントリーすることにいたします。

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