現場調査時

【施工前】

本件の概要は以下のとおりです。

①築10年ほど

②新築後2年で建てた工務店は倒産

③工務店の倒産により点検等は行ったことがない

④③の影響でどこに点検を頼めばいいのかと思案している時に、タイミングよく一般社団法人市民住まい向上委員会のチラシが入る

⑤一般社団法人市民住まい向上委員会主催の屋根・外壁リフォームセミナーを受講

⑥セミナー受講者には無料サービスで協賛業者による現場調査が付いていて、点検を受けた結果、屋根・壁のクラックや5ミリ超える反りを何か所か発見

⑦点検を実施したのはプロタイムズ

⑧お客様が心配になってネット等で情報収集、弊社のコロニアルNEOに関する記事を読んだ後にお問い合わせをいただく

以上です。

現場調査時

WEB経由でのお問い合わせで一番多いのが、②のように建てた工務店やハウスメーカーが既に倒産、引き渡し後に一切の定期点検を受けたことがなく、お客様の知らぬ間に屋根や外壁に破損や不具合、経年劣化が確認されるといった事案です。

建てた業者が未だ実在しているのであれば、先ずはそちらに問い合わせるのが一般的ですが、本件のように倒産しているケースですと、お客様は新たに頼れる業者を探さなければなりません。
これが業界外の一般の方ですと、なかなか上手くいかないことが多いいようです。

代表である私と友人関係、知人の方々は「何かあったら南さんに頼むよ」といった感じですのですごく楽だと思いますが(笑)、住宅外装どころか建築業界自体にも友人知人がいらっしゃらない場合は、どこにコンタクトを取っていいやらと悩むことになるのでしょう。

現場調査時

既存屋根材はコロニアルNEO。

アスベスト入り(石綿入り)のNEWコロニアルから、建築基準法による石綿規制でノンアスベスト製品への切り替え時に製品化されたのがコロニアルNEOです。

現場調査時の屋根の状態はクラックが主な不具合の事象でありましたが、本件以前の弊社取扱案件が酷すぎたのか、屋根面におけるクラックの箇所数は割と軽妙な印象を受けました。

本件におきましては、弊社はケイミュー株式会社とやり取りを一切しておりません。

現場調査時

せっかく足場を架けるので、屋根工事だけではなく外壁塗装もセットで行うことに。

ちょうど築後10年ほどですし、外壁にも汚れや小幅なクラックが確認されましたので、タイミング的にも適切な時期でしょう。

仮設足場設置

【施工中】

工事時期は案件発生から数ヶ月延ばして春先をご提案差し上げました。

2016年の10月頃にお問い合わせがあり、当年年末にはお互いの確認が済み、2月にご契約を締結、真冬をスキップして春先4月に仮設足場設置から工事スタート。

弊社の場合は工事開始日1ヶ月前〜1週間前までにご近隣の皆様へのご挨拶回りを済ませております。

工事がどれだけ上手く行ったとしても、そこにずっとお住まいになられるのはお客様ですから、ご近隣の皆様に失礼があってはなりません。
他社はわかりかねますが、弊社の場合はこちらが準備したお菓子折りを携えて、お客様と弊社担当者が共に一軒ずつ工事日程や工事の詳細、搬入車両や騒音等のご説明を差し上げていくスタイルです。

お施主様と業者側が礼を尽くすことによって、ご近隣の皆様とはトラブルになりづらいと感じています。

ルーフィング段取り

本件はお客様たってのご希望から既存屋根材コロニアルNEOへ、アイジー工業スーパーガルテクトフッ素をカバー工法で重ね葺きです。

お客様へはコロニアルへの重ね葺き、カバー工法のメリットやデメリットの詳細な説明に務めましたので、その上でのたってのご要望ですので施工いたしました。

勘違いされているお客様が多数いらっしゃいますが、重ね葺き、カバー工法はいきなり既存屋根材を新規屋根材で覆えるわけではありません。
新規屋根材施工の前に、既存屋根材にルーフィングを敷き込むことからスタートするわけですが、その前に既存の雪止金具や各所の板金を取り外したり加工したりと、結構やることがあるのですよね。

棟包板金取り外し

このように棟包板金を下地ごと撤去していきます。
重ね葺き、カバー工法というのは葺き替えと比較して現時点ではゴミが出ない方なだけなので、廃棄費用は全てカットされるわけではなく、今回の工事ではあまりゴミが出ないだけで、いつかは全てに廃棄費用が掛かる、これが正しい理解だと思っています。

既存ケラバ板金加工

マニュアルとおりにルールを守って施工すると、既存物を撤去する時間や工程は確かに少ないのですが、それでもやることはかなり多く、重ね葺き、カバー工法ってメリットとデメリットを天秤に掛けると、そこまでどちらかに偏った良い面ってあるのかなって感じてしまいます。

雪止金具を全て撤去

ここまで撤去してやっとルーフィング敷き込みです。
今回はTAJIMAの遅延粘着型下葺き材タディスセルフというルーフィングを選定いたしました。

通常ですと屋根下地(野地板)にルーフィングをタッカーで留め付けていくわけですが、本件は既存屋根材を撤去しない重ね葺き、カバー工法ですので、タッカーで留め付けていく術がありませんので、裏側がゴキブリホイホイのような粘着力を持つルーフィングで文字とおり貼っていくことになります。

タディスセルフ敷き込み

タディスセルフは粘着系ルーフィングですが、遅延型のメリットとしてすぐにはピッタリとくっつくことはありませんので、真っ直ぐ貼れない時、表面に皺が寄ってしまった時はやり直せる特徴があります。

この機能、地味に助かる…。

タディスセルフ敷き込み

本件は屋根勾配が6寸と急勾配の部類ですので、屋根足場を架けました。
コロニアルとは違って、スーパーガルテクト等のガルバリウム製屋根材は比較して滑りますので、弊社の場合は板金屋根材の場合は6寸からは原則的に屋根足場を架けます。

良い仕事を提供できても安全第一、”命あっての物種”ですのでお客様の負担にはなりますが、ご理解をいただいております。

ルーフィング終了

ジャッキがすごく邪魔(屋根職人あるある)でしたが、ルーフィング敷き込み終了です。

改修用ケラバ水切取付

ルーフィングが終わりますと各所の水切を取り付けて行き、本体であるアイジー工業スーパーガルテクトフッ素を葺き上げていきます。

スーパーガルテクト施工

本件の屋根形は基本的には切妻なのですが、屋根面数が3面で、その3面それぞれ屋根勾配が違うという物件でした。

6寸、9寸、12.5寸、さすがに9寸勾配では屋根足場が無い状況ですと、さすがの職人も屋根で立ってはいられません。

切妻なので各所の板金を取り付けた後はガンガン葺いて行けるので、目に見えて捗っていく状況が現場にいい雰囲気を作っていきます。

6寸勾配面葺き上げ

軒先から二段目の雪止金具取付までは、屋根の一番天辺に背を向けるように雨樋側に体を向けて施工しますが、雪止金具取付を終えて三段目まで葺き上げるとやっとこさ屋根の天辺を見据えるように、体の向きを変えられるので、ここからは施工スピードが物を言います。

三段目くらいまではどうしても天辺に背を向けるようにしなければ、屋根の施工って瓦にしてもコロニアルにしても板金屋根にしてもできないのですよね。
三段目まで葺き上げると、葺き上げた新規屋根材に足を載せれるようになりますので、職人的にはすごく作業が楽なのです。

ルーフバルコニー片棟付近

本棟までの途中にルーフバルコニーがあり、笠木代わりの片棟を施工していきます。

片棟取付

片棟を取り付けたら本棟に続く上段を葺き上げるため、新たにケラバ板金を取り付けていきます。

母屋下がり部

ルーフバルコニーは母屋下がり部に位置しているため、本棟はこのような形になっています。

なかなか手間がかかる屋根です。(屋根屋あるある)

ルーフバルコニー

この画像のほうがわかりやすいですね。

ルーフバルコニーとは逆側の下からの画像。

うーん。かっこいい!
スーパーガルテクトは葺き上がりが大変綺麗に見えます。

仕上がり

【施工後】

弊社の案件でガルバリウム製屋根材を取り扱う場合は、かなりの確率でアイジー工業さんのスーパーガルテクトになってきました。
スーパーガルテクトの表面塗装は二種類ありまして、遮熱性ポリエステル樹脂塗装と遮熱性フッ素樹脂塗装、表面塗装で保証内容に違いがあります。

[遮熱性ポリエステル樹脂塗装]
・穴あき25年
・赤錆20年
・塗膜15年

[遮熱性フッ素樹脂塗装]
・穴あき25年
・赤錆20年
・塗膜20年

ちなみに弊社のお見積では大して価格が変わらないため、フッ素をおすすめしております。
ガルバリウム製屋根材の特筆すべきところは、上記のような長期保証付であること、そしてその保証に裏付けられた高耐久で上質な製品であること、そして一般的な屋根材の中では一番軽く、加工もそれほど難しくなく、施工性に富んだ万能型なところでしょう。

弊社は重ね葺き、カバー工法自体は特別おすすめしておりませんが、ガルバリウム製屋根材自体は超絶おすすめしております。
特に上記のような長期保証付のスーパーガルテクトは特におすすめ。
ただ、コロニアル等と比較して高価なので、葺き替えに使うとかなり高額になりがちです。

お客様の声

弊社サイトリニューアルの準備のため、本件におきましては記載しておりません。
近日中に記載予定ですので、よろしくお願い申し上げます。