【施工前】

築15年ほどの三階建ての建売住宅、既存屋根材はニチハパミール、お問い合わせいただきまして現場調査と無料点検を実施いたしました結果、ニチハパミール特有のミルフィーユ現象とクラック事象が全面的に認められていましたので葺き替え工事をおすすめいたしました。

個人的にはコロニアルならともかくパミールはカバー工法、重ね葺きはどうかと思うのです。

何故か?
答えは簡単でパミールの場合、必ずと言っていいほど留め付けている4本の釘が錆びています。
この釘を除去せずに、産廃諸共カバー工法、重ね葺きによって隠せばよろしいという言説は至極乱暴ですし、当該工法を他の工法と比較協議せずに、簡単にお客様へ薦めるというのはあまりにも無責任だと思うのです。

錆びていると分かっているものを放置して、その影響は何もないと言い切れるのでしょうか?

どういうエビデンスデータによって、根拠によって”不具合があるコロニアル、パミール=カバー工法、重ね葺き”となるのか。
カバー工法、重ね葺きは安い、と言ったような誇大な言説は業者側が仕事を取りやすい、人員確保が少なくて済むからであり、真正面にお客様を見ていれば早速「カバー工法、重ね葺き!」とはならないと思います。

【施工前】

築15年のパミールで勾配が緩い場合は、6寸勾配以上のいわゆる急勾配よりも表面劣化が早いです。
ニチハパミールでも稀に釘が錆びていないこともあるのですが、経験上そういった事案は必ず6寸以上の屋根勾配です。
当該物件は三階建ということもあり、お客様がご自分で屋根の現状を把握しておりませんでした。
たまたま近所の工事に来ていた屋根職人が自分の持ち場である屋根から当該物件を見たようで、親切にお施主様に「少し遠目から見たけど屋根がおかしいので建てた工務店にでも見てもらったほうがいい!」と助言がありました。

しかし、当該物件を建てた業者は既に倒産、困ったお施主様がネットで検索して弊社を探してくれました。

バブル崩壊、リーマンショック、デフレを経た我が建築業界においてもやはり倒産していく会社は大変多く、その割りを食ってしまうのはお客様であるお施主様です。
話が脱線いたしますが弊社は融資等は受けていませんし、支払いが遅いお取引先様とは縁を切っていますので健全な経営ができています。
弊社の使命は工事をするだけではなく、ずっと永年ルーフワークスはあり続けること、最近はそんなことを感じています。

【施工中(既存屋根材剥がし)】

毎度毎回見るのですが、ニチハパミールを剥がしますと必ずと言っていいほど画像のように水滴が見受けられます。
釘の錆はこの事象に由来して起こることは想像に難くないですし、ずっと水に触れているわけですからラスパート処理(メッキ処理)云々と言うよりも屋根材自体の構造上の問題だと思います。

屋根材のほとんどは上下の材料を規定通り重ねることで上から下へ雨水を流します。
パミールの場合、この上下の重なりを外して見てみると上記のような水浸しといっても誤解は生じないほど濡れています。
この事象はコロニアル等、他のスレート屋根材では確認されませんので、パミール特有の事象と言っていいでしょう。
見ればお分かりになるとおり、釘は錆びて朽ち果てています。

もちろん前日に降雨があったわけではありません。
いつからかずっと重なり部上下間は濡れているということでしょう。

【施工中(既存屋根材撤去後)】

当該物件はそれほど大きな屋根面積ではないので約2時間ほどで撤去、掃除まで終わりました。
この上に構造用合板を施工していきます。

先述ですが、私が特にニチハパミールへの対処としてカバー工法や重ね葺きを推奨しない理由は、今まで見ていただいた画像のとおり、目に見えないところは漏れなく水浸しだからです。

カバー工法、重ね葺きの類は、その工法上の性質から屋根野地板(屋根下地)の現状を把握、確認する術は一部剥がしてみるか、小屋裏から野地板の裏側を見るしかありません。
弊社が「これはカバー工法の方が向いている。」と判断した場合は必ず上記の検査を実施した上で行います。
経験上、屋根面においてのやばそうな箇所はありますので事前に剥いて確認し、小屋裏に侵入して裏側も確認いたします。
これ、相見積もりの場合にお施主様に申し出ると漏れなく「他社はそんなことはしませんでした。」と言われますが、何をもって「カバー工法で大丈夫。」と判断しているのだろうと不思議に感じます。
もちろんガルバリウム鋼板製の屋根材の場合ですと、屋根垂木にカバーする屋根材をビスで留め付けていきますので、「垂木は問題ないはず。」ということなのでしょうけど、それでは野地板がどれだけ劣化していてもそれは問題ないということなのでしょうか。

私にはそんなに簡単に判断はできませんけどね。

【施工中(構造用合板施工)】

これが新規屋根材の屋根下地になりますので敷き詰めていきます。
ここまでくると私達職人も心の余裕が出てきます。
経験上、大体トラブルのはこの作業以前ですから、これ以後は粛々と作業を進めていけます。

【施工中(ルーフィング敷き込み)】

本件で使用したルーフィング(下葺き材)はPカラーEX+というものです。
築15年を考慮すればこの辺のグレードでも問題ありません。
元々が雨漏りしていたり、屋根が複雑の場合、工期が短期間ではない場合はライナールーフィングの方が何かと安心ですが、本件は人員を揃えて望み一日で仕上げる予定でしたので当該ルーフィングをセレクトいたしました。
ここまで作業してお昼ごはんです。
約半日でここまできたので順調順調。

【施工中(荷揚げ後コロニアル葺き上げ)】

昼食後、少し太りましたので(笑)カロリー消費のためにも動き回ります。

今回、お客様にお選びいただいたのはコロニアルグラッサのアイスシルバーというお色です。
屋根材のお色というのは実は大切で、黒から茶色にするだけでも屋根材自体が吸収する熱は軽減されます。
現在はKMEW社から遮熱製品が出ていますので、こういったものを採用するだけでも部屋内の温度は違うと思います。
ただ、真夏ですと違いが体感しずらいかもしれません。

【施工完了】

アイスシルバーは汚れやすいので細心の注意を払いながら作業しなければなりません。
屋根は私達屋根職人からいたしますと仕事場でありオフィスですが、お客様に納品する大切な商品です。
せっかく綺麗に仕上げても靴の痕なんて残してしまったら台無しです。
もちろん痕がついたら拭けば良いことですが、お客様からしたらそういう問題ではないと思うのです。

気を使う、職人とはそういう生き物なのです。

【施工後】

お客様とパチリ。
本件はニチハパミールへの対処工事でしたが、先述のとおり建築業者が倒産しており引き渡しから点検無しということでした。
お施主様のほとんどはこういった境遇になった場合、「そろそろ築後◯年点検です。」とアナウンスしてくれる人間を失っています。
もちろん、建主様ですからいつかはメンテナンス実施時期が来るというのは頭の片隅では憶えておられますが、日々忙しくなかなかそういったことに気が行かないものです。
せっかく足場を建てたタイミングでしたのでサイディングの目地シール工事と、各所バルコニーの防水工事も実施いたしました。

※施工前
※施工後

現在、弊社では住宅の外回り、外装工事をパッケージにいたしまして一括で受注可能な体制ができあがっております。

外壁塗装、各所シール工事、防水工事等、住宅に関することであれば対応させていただきますので、ご用命ございましたら何なりとお申し付けくださいませ。

お客様の声

アンケート

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①今回の工事においてルーフワクス全体的な印象を教えください。

【回答】
■素晴らしい施工集団であり、良い会社だと感心した。

職人さんたちのチームワークがいい、というのが最も大きな印象。
気持ちよく、丁寧な仕事してくださる方ばかりで、安心感がありました。
こういった仕事は職人さんとの相性が大事だと思っておりますので 。

②お客様へのご対応、ご提案は適切でしたでしょうか?

【回答】
■対応、提案共に大変満足している。

ご近所に迷惑をかけないよう、十分に配慮をしていただきましたが、それでも長い工事期間中には、ご近所から苦情を言われる場面がありました。
もう少し、施工スタッフ全員で情報共有を徹底していただけたらな、と思います。
元のスレート品質についての情報提供、ご提案には非常に満足しています。

③弊社が施工いたしました工事内容は如何でしたでしょうか?

【回答】
■綺麗に仕上がって大変満足している。

素人ですので、正直、仕上りレベルは判断付かない部分がありますが、時間をかけて丁寧な施工をしていただいたことは、見ていて理解できました。
バルコニーの防水工事は、厚 みがあって、素人目にも長持ちしそうです。

④弊社提供工事お見積価格は如何でしたでしょうか?

【回答】
■高価でもなく、安価でもない。

もっと安いところはあったかもしれませんが、内容からすると適正価格だと思います。

〈スタッフ総評〉
A様、今回は弊社をお選びいただきまして誠にありがとうございました。
②の「ご近所に迷惑をかけないよう、十分に配慮をしていただきましたが…」のご感想は弊社としても大変勉強になりました。
万全を期したとしてもご近隣様からしましたら気になることは許しがたくなること、今後に活かしていこうと思います。
弊社の屋根のリフォームは10年までは無料点検を実施させていただくロングサポートですので、今後ともよろしくお願い申し上げます